この夏が終わっても
【翌日/学校】

「みんな!お願いが、あるのっ…!」

私は部室にグループのメンバーが集まると、手書きの歌詞付きの楽譜をみんなに見せるように机の上に並べた。

徹夜で仕上げた、オリジナルの曲。
将ちゃんへの気持ちを綴った歌詞。


「この曲、一回聴いてみてくれないかな?
よろしくお願いしますっ…!」

私はみんなの顔を見て、頭を下げた。
8月の夏祭りの、みんなで立つ大事なステージ。
そのステージに私情を持ち込むのはいけない事だと思いながらも、これが今自分に出来る精一杯の想いだった。

LINEや電話じゃ駄目。
手紙だって、読んでもらえるか分からない。
家の前で待ち伏せも考えたけど、そんなんじゃ駄目なの…。
今までの私から変わらなきゃ、将ちゃんに信じてもらえるくらいの気持ちはきっと伝わらない。

弱くて待ってるだけの自分からは、もう卒業しなきゃ。
追いかけるだけじゃなくて、将ちゃんの心を捕まえなきゃ駄目。
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