桜時雨の降る頃
「何だよそれ。 俺らには手ェ出すなっての?」

更に憤慨してしまった朔斗は歩みを止めてわたしを睨みつける。

「出すなっていうか……、もちろんさっきのは助かったよ。ありがとう。

でもね、朔斗たちに助けてもらっちゃうときっと根本的な解決にはならない気がする」

だから、やっぱり。

「わたし達、ちょっと離れてみたほうがいいのかも。先輩の言うこと聞いてるみたいであれだけど」


わたしは2人を交互に見つめた。

一緒に育ってきた感覚があるから、ずっと意識してなかったけど

わたし達は性別が違うんだ。

生きる社会がちょっとだけ違う。

それを今更ながら実感した。

「わたしも男の子だったら良かったな。
そしたら、堂々と一緒にいられたのに」


ムリヤリ笑顔を作って、呆然と佇む2人を追い抜くように歩を進めた。


ーーなんでわたしだけ女の子に生まれちゃったんだろう。

成長すればするほど、一緒に出来ることがどんどんなくなっていく事が悲しかった。






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