桜時雨の降る頃
ほどなくして、こっそり部屋から抜け出したわたし達は、すぐ目の前にある階段の踊り場で合流した。

近くにはトイレもあるし、いざとなったらトイレを言い訳にしよう、なんて言い合いながら

わたし達は階段の2段目あたりに腰を落ち着かせた。



「なんだろね、体は疲れてるはずなんだけど寝れなくて」

「お前、昼間歩きながら寝てたんじゃねぇの。昼寝得意だろ」

「なっ、いつの話よ! そんなわけないでしょ」

ハハッと意地悪く笑う朔斗。

そういえば、この旅行中、あまり朔斗を見かけなかったような気がする。

「朔斗は自由行動、どこ行ってたの? 見かけなかったけど」

「あー……。けっこ足延ばして遠いトコ行ってた。班の奴らには内緒にしてもらって」

ん? てことは……

「ちょっと、何? まさか単独行動?」

「当たり」

ニヤッと笑っているけれど、見つかったら大ごとだと思う。


「班のメンバーかわいそう。バレたら連帯責任じゃん」

「バレなかっただろ?」

得意げに笑みを浮かべている朔斗に呆れて何も言えない。


「お前は陽斗とデートしてたんだって?」

突然、本日のハイライトを突っ込まれて目をパチクリさせてしまった。


「すんげー噂になってたな。陽斗もツメが甘いよなぁ」

「……ツメが甘いとかいう問題じゃ」

「いや、そこまで考えてなかったんだろ。お前を喜ばせたかっただけだろうから」




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