桜時雨の降る頃
わたしの質問に朔斗は目を丸くさせながらも

ゆっくりと口を開いた。





「あるよ」



その言葉は、鉛のようにわたしの心に深く沈み込んだ。




わたしの知らないところで、彼等は少しだけ大人になっていた。

それだけの事なのに

どうしてこんな風に胸が痛むの。

そんな資格なんてないのに。

どうして、大事な人を奪われたような気持ちになるの。


とっくにわたしだけの2人ではなくなっていたのに。



「……そっか。2人とも好きな人いたんだ。
わたしが気付かなかっただけなんだね」


バカだなぁ、わたし。

やっとの思いでそう答えたのに朔斗は首を傾げる。


「好きな人、って言われるとピンと来ねぇな。

付き合ってみただけって感じだし。
陽斗もすっげー押しの強いやつに根負けして期間限定で付き合ってたよ」


…………なによソレ。

付き合うって好きだからそうするんじゃないの?

わたしには理解不能で思わずジロッと朔斗を睨んでしまった。
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