聖夜の奇跡
それから土日の休みを挟んで、月曜日。
「……あー。恥ずかしくて軽く死ねる」
更衣室のロッカーをバタン、と閉じて鍵をかけた。
後は、いつものように内視鏡室で検査の準備を急ぐだけだ。
だが、気が重い。
あの後、記憶は飛び飛びになっているが。
私がリバースした先は、ぎりぎりで玉岡さんが投げて寄越したゴミ箱の中だったことと。
タクシーに乗せられてなんとか子供を預けていた実家まで帰り着いた時、玉岡さんも一緒だったことは覚えている。
玉岡さんはともかく、先生の前であんだけ愚痴って最後はリバースだなんて。
どんな顔で会えば良いかわからないが、今日のところは先生は外来だから恐らく内視鏡には来ないだろう。
しかし、明日は谷先生が内視鏡当番の日だし。
お詫びとお礼は言わなければならない、それが今日か明日かというだけのことだ。
腹をくくって、私は更衣室を出て。
数分後。
「………えっ…?」
私は驚いて、二の句が告げられなかった。
「あの日のね、夜だったんだって。帰りに、藤川師長の家に寄って、谷先生が見つけたんだって」
藤川師長。
それは、谷先生の彼女の4階の看護師長の名前だ。
「くも膜下出血で、まだ意識戻らないらしいよ」