恋におちて
「お母さんも再婚したら?」
「いきなり何?」
「なんとなく?」
フッと困ったように笑いながら
コーヒーカップに手をかけ、
「そうね…
あなたが結婚して、孫を抱かせてくれたら
考えるわ。」
結婚もまだなのに孫って…
母の満面の笑みに
墓穴を掘った感じが否めない。
オレンジジュースをストローで混ぜながら
いまだに満開の笑みを浮かべたままの母に
はいはいと気のない返事をした。
50才になる母は、
娘の欲目って訳じゃないけど、
とても50才には見えない。
二人で買い物していても
よく姉妹と間違われた。
一時期、私ってそんなに老けてる?
って本気で悩んだくらいだ。
そんなどうでもいいことを思い出して
いると、
「待たせてしまって申し訳ない。」
「お久しぶりです。」
背後からした男の人の声に
母が席を立ってお辞儀をした。
私も慌てて席を立ち、
振り向きお辞儀をした。
「10年振りぐらいかな?」
「そうですね。この子の高校の卒業の
時にお会いしたのが最後ですから。」
そんな和やかな二人の会話を聞きながら
下げていた頭を挙げた視線の先、
目の前に立つ男の人達に軽い衝撃を受けた。
母と話す中年の男性と、
その後ろに立つ男性…
絶対に…100%お見合いとは無縁だ。
そんなイケメンが二人、
穏やかな笑顔で立っているんだから。