サムライ君とメガネちゃん
「ひそひそ」「ひそひそ」

誰かの囁き声が聞こえ、私は眼を開ける

私は、先程と同じ、戸板のようなものに寝

かされたまま…いや、違う?

違うのは、私が私自身に戻っていること

夢…だったの?さっきまでの乱闘は?

両手を見る。左手首にミサンガが…

私の両手だ

次に私は自分の全身を見る

制服を着ている。完全武装姿じゃない

私の全身だ

つまり、私の体で、私の視界だ

さっきまでの、沖田さんの視界じゃない

「ひそひそ」「ひそひそ」

囁き声はやがて大きくなる。周囲はまだ暗

く、誰がいるのか、何を言ってるのかもわ

からない

誰か…誰かいるの?

問いかける。誰も答えない

私はゆっくりと起き上がる
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