キミとまた違う未来で、この桜を見上げよう。
でもそれが崩れたのは私が9歳のときだった。
「……おかあさんおそいなー……」
私はいつものようにお母さんの帰りをテーブルに頬杖をついて待っていた。
でもお母さんはいつもなら帰ってくる時間には帰ってこなかった。
気付けば私はテーブルに伏せて寝ていて、そのまま朝を迎えてしまった。
まだ眠い目を擦りながら起きると何も置いてないテーブルに1枚の紙が置いてあった。
2つ折りになった紙を開くとそこにはお母さんの字でこう書かれていた。
【もう帰って来れないの。ごめんね。】
「…それからすぐにおばあちゃんが私を引き取りに来てくれたの。
その時の私はお母さんがどうして帰ってこれないのか分からなかった」
ねぇどうして?おかあさんどうしてかえってこないの?
何度もおばあちゃんに聞いてもおばあちゃんは「ごめんな。あんな母親にしちまってごめんな」と言って私を抱き締めるだけだった。