キミとまた違う未来で、この桜を見上げよう。



「病気になって、もう何もかもどうでもよくなってた時に同じ病室にアタシと同じ病気で入院している子がいたの。

その子に言われたんだ。『苦しい時こそ笑って病気を追い出すんだよ。』って。だからアタシはどんな時も笑顔で笑って生きようって思ったの。

空から見てくれているその子に怒られないようにってのもあるかな」



ずっとへらへら笑ってるだけの人だと思っていた。



でも笑顔でいるのには深い理由があった。
彼女が大切にしていることがあるように、私もいつかそういう大切なことができるといいな。



七笑と思いの丈をぶつけあったおかげか、帰りの車の中は賑やかだった。



ほとんどは七笑が話してたけど。



でもそのどうでもいい話がとても楽しく思えたのはきっと思いを海に向かって言えたからかもしれない。



家に近づくと玄関にいつもの人影が見えた。


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