泥酔ドクター拾いました。
「いや、忘れ物はなかったよ。藤代さんが体調の悪い時に申し訳ないんだけど、昨日のお礼として、頼まれて欲しいことがあるんだ」

「えっ?」

驚くのも無理はないよな。俺だって逆の立場だったら同じ反応をしているに違いない。
藤代さんがきょとんとした顔をしているのが、マスク越しにでもわかった。

罪悪感にも似た感情を抱きながらも、俺は言葉を続けるしかない。

「詳しくは後で説明するから、一度、今すぐ俺と一緒にうちに来て欲しいんだ」

「えっ?」

「とにかく、時間がないから。すまない」

俺は驚いた顔をしている藤代さんの手首を掴み、半ば強引に彼女を連れだした。

階段を昇るとき、ふと猫のキャラクターが描かれたサンダルから、藤代さんの深紅にゴールドのラメを散らしたデザインのペディキュアが視界に入ってくる。なんだかサンダルその猫のキャラクターからにらまれているような気分になってしまった。

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