泥酔ドクター拾いました。
「あんた、最低っ!!私、ほのかって名前じゃありませんから!!私は、藤代奈緒!!これ以上、変な真似すると警察に通報するから」


笑顔に胸がキュンとなったことも、引っ越してきてからこれまでイケメンだって思ったことも、すべてなかったことにしたい。


神様なんて信じてないけど、こんな時だけは神様に祈った。

不幸中の幸いってこんなことをいうのだろうか。
私が彼を突き飛ばした場所も彼がうずくまっている場所だけは良かった。

場所だけは、場所だけはだけど。

玄関とは反対側、つまり外廊下の壁にもたれるようにして彼はしゃがみこんでうずくまっている。
さっきまで彼のせいで塞がっていた私の部屋の玄関のドアには、おかげ様で塞いでいるものは何もない。


どんなにイケメンでも、やっぱり酔っぱらいは最低だ。
でも、いくら酔っ払いだからっていっても、私この人叩いちゃった…。


怒りと同じくらいに見知らぬ男を叩いてしまった後悔と焦りが私に押し寄せてくる。
私は逃げるようにして鍵を開け、急いで玄関の中に入った。


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