泥酔ドクター拾いました。
って、あれ?

そういえば、あの泥酔男が自分の部屋へと帰っていく時に聞こえるはずの足音さえも静かすぎる扉の向こうからは聞こえてこない。


右手に残る熱のせいで、彼が少しだけ気になって私は玄関の覗き穴から恐る恐る彼の姿を確認することにした。


さっきからすでに10分近くは経過したはず、きっともう部屋に帰っているはず。

心のどこかでそう確信していた私の予想はあっという間に打ち崩された。

だって、彼はさっき私のビンタのせいで、しゃがみこんでうずくまった状態のまま、全くと言っていいほど動いてはいなかったのだ。


呼吸しているよね?心臓動いているよね?

小さな覗き穴から見るだけでは、彼の呼吸なんて確認することは到底できない。

叩きどころ悪くて、脳血管切れちゃったとか?
はたまた、どこか骨折してしまって動けないでいるとか?

それなら、彼を通報する前に私の方が傷害罪で警察のお世話になるじゃん…。


彼にビンタしてしまった私は、彼が動いていないってことがなんだか不安になってくる。


< 19 / 225 >

この作品をシェア

pagetop