泥酔ドクター拾いました。
私は、さきほど急いで閉めた玄関扉をゆっくりと開いて、彼に声をかける。

「あの…」

大丈夫ですか?

続くはずの言葉を私は思わず飲み込んだ。
だって、目の前の彼は私の声になんて気がつかずに規則的な寝息を立てている。
しかも、私の心配をよそに気持ちよさそうな顔までして。


あぁ、もう。本当に最悪。

生きていてよかった、なんて思うよりも先にそんな思いが浮かんできてしまった私は看護師失格なのかもしれないけれど。

私は気持ちよさそうな寝顔をしている彼も見つめながら、大きなため息を吐いた。


生きていてくれて一安心だけれど、私の部屋の玄関前で寝ているなんて、正直私が困る。

それにいくら初夏の深夜だといっても、こんなに酔っぱらっていて何かあったら…。

いやいや、そんなことあり得ないかもしれないけれど、このまま彼を放ったらかしていても安眠なんて出来そうにない。


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