泥酔ドクター拾いました。
彼女はいきなりの俺の言葉にも行動にも驚いていて、答えを考えあぐねている様子だ。


ビュウウウウっと音を立てながら、冷たい風が吹きつけて寒さを感じて、2人で随分長い間、この屋上で過ごしていることに気が付く。

「行こう」

彼女の返事なんて聞くこともなく、彼女の手を握りしめ、階段を下りて病棟の廊下をグイグイ進んでいく。


就寝前の時間帯の廊下を、医師と看護師が手を繋いで歩いているのだから、すれ違った患者から好奇の視線を浴びてしまう。


きっと明日には、噂になっているのだろうな。だけど、今はそんなことどうだっていい。

そんなことを想いながらも、彼女の手を俺は離さないでいた。

< 199 / 225 >

この作品をシェア

pagetop