泥酔ドクター拾いました。
「藤代さん、待って」


藤代さんがベンチから立ち上がろうとするのを阻止するように、俺は彼女の腕を取り、無理矢理にベンチに座らせる。

「ちょっと、大和田先生!!何するっ…んんっ」

彼女の言葉を塞ぐように、彼女の唇を奪う。
いきなりのことで驚いた顔したままの彼女が俺の白衣の袖をしっかりと握りしめる。


唇が離れると、彼女は少しだけ肩を上下させながら息をしながら、戸惑った瞳で俺を見つめる。


「俺は、藤代さんに辞めて欲しくないと思っている」

俺の言葉に先ほどまで戸惑った表情をしていた彼女が、今度は瞳を揺らしている。

< 198 / 225 >

この作品をシェア

pagetop