泥酔ドクター拾いました。
藤代奈緒で仕事をすることも、あと数日。

大和田奈緒になるんだ、私。

崇也さんに言われた一言に、急に結婚を意識してしまって私の顔が熱を帯びる。

そんな様子を、崇也さんはメガネの奥の瞳を細めて柔らかく微笑む。

「今日は早めに帰れそうだから、通用口で待ってて。独身最後のデートをしよう。」
「はい」

デートのお誘いに胸がキュンと高鳴る。

そんな私の反応に崇也さんは満足そうに笑うと、私のおでこに啄むような小さなキスを落とすと仕事へ戻っていく。


崇也さんの白衣姿の後ろ姿を眺めながら、私は沸々と湧き上がってくる幸せをかみしめたのだった。
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