泥酔ドクター拾いました。
俺が右往左往している間にどうやら目の前の彼女は完全に目を覚ましたようだ。

少しだけ乱れた髪の毛を簡単に手で整えながら、眉間に深い皺を寄せたかと思うと鋭い眼差しで俺は睨まれてしまった。

青みがかった独特な色の真ん丸な瞳に目鼻立ちがくっきりとした顔。

この女、どこかで…。

記憶を辿ろうとするが、やっぱり前日のアルコールが邪魔をして、思い出そうとすると頭が痛む。


「目が覚めました?あなた、酔っぱらって自分の部屋間違えて」

「はぁ」

俺の返答にムッとした表情を浮かべた彼女。

「はぁ、じゃなくて!!私の部屋の前で寝ていたので、何かあったら私の方が住み心地悪くなるので一晩だけ私の部屋で寝ていただきました!!本当に大迷惑っ!!」


目の前で段々と怒りのボルテージが上がっていく彼女をぼんやりと見つめる。

迷惑そうに話す彼女に、二日酔いの寝起きの俺の脳内は、正直まだついていけていない。

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