泥酔ドクター拾いました。
ぼんやりと彼女を眺めている俺に、彼女は目の前で呆れたような大きなため息を漏らす。

彼女はブツブツ言いながらキッチンの方へと向かって歩く。

そんな彼女の背中を眺めながら部屋全体を見回すと、間取りは違うものの壁紙や建具といったものは俺の部屋とよく似ている。

「ハイ、これ」

彼女はいつの間にかキッチンから冷えたグラスを持って戻ってきていて、枕元に置いてあったレモン水をそのグラスに注ぎ、俺の目の前に差し出した。

ゆっくりとベッドから上体を起こすとズキズキと頭が痛んだけれど、彼女から差し出されたグラスを受け取った。


「とにかく、これ飲んだらとっとと、出ていってください!!」

受け取ると同時に矢継ぎ早に強い口調で言われてしまい、俺は8割ほど停止したままの頭を押さえながらレモン水を一気に飲み干した。


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