泥酔ドクター拾いました。
「それから、さっき怒鳴ってしまって悪かった」

さっきの緊急招集の時のこと。心臓マッサージをしていた俺の視界に、呆然としている白衣姿の藤代さんが入ってきて、俺は思わず彼女に血圧測定をしてほしいと怒鳴ってしまったのだ。

あとで聞いたのは、心臓マッサージを施していた相手は藤代さんの受持ち患者だったということ。あの時、藤代さんは帰る直前にも病室を訪ね、ケアをしていたということだった。


俺の言葉に、彼女は俯きながら大きく頭を横に振る。

「あれは、私が悪かったんです。ぼんやりしてしまって。怒鳴られて当然です。ナースとして、冷静で迅速な対応が出来なかったんです。」

彼女の華奢な体がますます小さく見えて、俺は思わず彼女の頭を撫でていた。

「冷静だったと思うよ。少なくとも藤代さんがカルテも見ずに、既往歴を把握していてくれたから助かった部分もある」

俺の言葉にも、行動にも驚いたような顔して彼女は俺をまじまじと見つめる。

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