キミの螺旋
「わからない?…何も見えなかったって事かい?」

先生は少し不思議そうな顔をしていた。
あたしは黙って頷いた。

「うーん…明らかに記憶が戻る事に対して拒否反応が出ていたみたいだ」

「自分で拒否してるって事…?」

「そうだね」

あたしには…どうしてなのか理由がわかっていた。

だけど、考える事自体を拒否していた。わからないフリをしていたと言った方が正しいかもしれない。

「凛、ホントに大丈夫!?」

サラがずっと心配そうな顔をしていて…あたしはサラに付き合ってもらった事を後悔していた。

「サラ、あたしなら大丈夫」

「帰れる?それともしばらく休ませてもらう?」

「少し休めば帰れる。も少し待っててくれる?」

頭がなんとなく重く感じられて、あたしはそう答えた。

「わかったわ」

あたしの今日の治療の事なんかをカルテに書き込みながら話しを聞いていた平田先生がペンを置いて言った。

「お茶でも飲もうか、落ち着けるだろう」

「ありがとう…」

先生はすぐに紅茶を用意してくれた。

それを飲みながら先生は今の催眠について聞きたそうな素振りを見せていたけど、話す気にはなれなかった。

話せる事はない…
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