キミの螺旋
行く宛なんかない。
頼る人もいない。

独りなんだ。

──なぁんだ、最初に戻っただけじゃん。

何もかも知らないままで、記憶喪失で義父から逃げる為に家出をしてた時に戻ったんだ。

まだサラにも藤紀にも出会う前のあたしに。まだ誰も愛してなかった頃のあたしに。

あの時と違うのは…あたしが妊娠してる…って事。

やっぱり誰も居なくなるんだ。
こうなる運命って感じかな?

あたしは独りで生きていくしかないんだ…

でも、もう身体を売るような真似はできない。身重な上に…どうすべきか決められないでいるのだから。

このまま路頭に迷って死んでもおかしくないくらい…あたしの中には何もなかった。

生きる為の糧も
誰かを愛する事も

母親になる事も…

「今夜…どこで眠ろうか?」

誰も居ないのに独りで呟いた。
そんな場所なんてない。

でも帰れないし
帰る場所なんてない。

あたしは独りで目的地も見つからず、一日中歩いた。

その間、男に声をかけられても無視した。

訪れたことのない駅で降りて、また街中をさ迷う。

自分がどこにいるかわからない…

なのに




家路を急ぐ人混みの中から





あたしは彼を見つけた
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