キミの螺旋
間違いなく藤紀の子供が、今あたしの中に宿ってる…

誰よりも深く
何よりも深く

彼だけを見て
彼だけを愛して

そして愛されて──

そんな時に授かった命だった…

幸せだった時間…でも、もう二度と戻らない時間…

今もあの時のままだったら…きっと妊娠した事を素直に喜んでいた。

喩えようがないくらいの幸福に包まれただろう…

だけど今は違う。


今は幸せだと思えない…妊娠した事を喜ぶのはムリだ。

だって藤紀の子供なんだよ?

どんなに想像したってどんなに努力したって

憎い男の子供を愛せるハズがないよ

多分、あたしはこの子を憎むだろう…生まれながらにして罪深い子供のような気がして、

きっと愛せない。
憎しみはこの子へ…

それがわかるから
どうすればいいかわからなかった。

誰にも相談できない

でも今も、確実にお腹の子供は成長してる。

生まれる為に──


あたし…産めない!
でも…中絶なんて…許されるの?

そんな事をしたら彼と同じじゃないの?
あたしだって人殺しになる…

あたしは…迷っていた


そして翌日
サラに別れも告げずに、あたしは家を出た。


もうここには戻らないつもりで──。
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