キミの螺旋
「お偉いさんって?」

「そりゃもちろん政治家の皆様だよ。

北川さんが息子を亡くしたばかりで公表してなかったし。たまたま、お前が'藤紀'に似ていた事がラッキーだったんだ。
北川さんはお前を見てすぐに資金面での協力を申し出てくれた。それがこの『プロジェクト』の始まりって訳」

「資金面…」

親父は今、会社の金を不正に流用し、クビになり…関係のあった政治家も巻き込んで世間を騒がせている。

多分…この『プロジェクト』が原因だ。

なんでだよ?

アンタ…そんなにまでして家族を──藤紀を取り戻したかったのか?

【オレ】に価値があるんじゃない…すべては『藤紀』の為だ。

理解できるかもしれない。親父がどんなに藤紀を愛していたのか、妻を愛していたのか…

それが不器用な親父の愛情表現だったのかもしれない。

「でもな…北川さんはもうダメだろうな」

「なんで?」

「下手な事したら、この『プロジェクト』までマスコミに嗅ぎつかれかねない。俺の方がヤバいだろ」

「'お偉いさん'が何とかしてくれるんじゃねーの?アンタとそいつらの関係は?」

「表向きは俺もただの医者だからな。関係なんてないフリをしなきゃならんし」
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