*ΒaD boY,SaD girL*
[side:he]
ガツンッッ!!!

『くそっ』

ドアを足で蹴り閉め屋上に出た。
行く宛もなくふらふらと屋上にたどり着いたのだった。
こんなにイライラするのは久しぶり・・・初めてだった。
ポケットから煙草とライターを出す。

『あー苛々する・・・』

煙草を口に運び火をつける・・・。

そのうち煙草を吸っていると落ち着きを取り戻し始めた。

『・・・・やっぱ、もー終わりかな』

壁に寄りかかり煙りをはきながら呟く。
この苛立ちの理由は分からないけど、二人が終わりに近い事は分かる。

『・・・2年だしな。潮時だな』

2年もてばいい方だと思う。そう独り言を言いながら立てた片膝にひじをつく。

『・・・・』

少し冷静になった頭で思い出す・・・。

自分を睨む里沙の顔
逸らされた視線
喧嘩を止めようとする智貴と舞美

そして・・・

“里沙”

あの時、感じた・・・違和感?
・・・不信感?
何だこの感じ・・・。

いつもは名字で呼ぶ宇田が最後に、とっさに呼んだ“それ”が頭に引っかかった。

『まさか・・・な・・・』

哉未は一瞬、怪訝そうな顔を浮かべると煙草を地面に押しつけた。

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