*ΒaD boY,SaD girL*
[BoyFriendⅠ]
別れてからの里沙は、よく笑っている。
同じ空間にいても前みたいに話す事なんてない。
・・・目さえも合わない。


〈男子トイレ〉

ジャーー・・・きゅっ

『なぁ』

水道を止めながら鏡越しに宇田を見た。
宇田は壁に寄りかかり煙草を吸いながら顔を上げる。
智貴は係りとかで職員室に行っていない。

『俺が死んだらどうする?』

冗談ぽく笑いながら問う。
宇田は、あれから変わった態度もなく友達の関係を続けている。

「なに?自殺願望あんの?」

宇田は素でそんな事を言うからおかしい。

『ははは(笑)ねぇよ』

思わず吹き出しながらポケットから煙草を取り出す。そして煙草を口に運ぶ。

「・・・哉未は女に刺されて死ぬタイプだよな」

宇田が煙草を出す哉未に火を差しだしながら少し笑って呟いた。

『笑えねぇよι』

哉未は煙草に火をつけながら苦笑いして言った。宇田の隣に寄りかかる。

『里沙は・・・』

しばし沈黙が続き哉未が口を開いた。
宇田が横目で哉未に視線を向ける。

『俺のために泣くのかな・・・』

狭い部屋に哉未の声が響く。
哉未は自分が吐いた煙を見ながら、あの寒い夜を思い出していた。


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