*ΒaD boY,SaD girL*
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哉未はあの後あてもなく街をふらついていた。
〔女の子置いてきたしι〕
思い出しながら思わず苦笑いを浮かべる。
女の子ひとりホテルに置き去りにしてきた。
今までの哉未からは、ありえない。
でも・・・

『・・・まぁ・・・いいか』

呟く。
そして表情をくもらせた。

『・・・』

ふと見上げたショーウインドー。
飾られていたブランドの服の前で立ち止まった。
いつだったか里沙がこの前で立ち止まって眺めていたのを思い出した。
『欲しいの?』て聞いたら『あんたでも普通に無理』て値段を指差しながら笑った里沙。
今は懐かしく思える。
哉未は両手をつくとショーウインドーをのぞきこんだ。
里沙も、こんな風に見てたな・・・。
ふと里沙の顔がよぎった。
そういえば里沙は、いつも怒ってた気がする。
デートに遅れたら口きかないし。
浮気すればキレて殴るし。
授業サボれば親みたいに説教する。
思い出すと里沙は、いつも怒った顔ばかり。
でも、それは嫌な感じじゃなくて・・・

『里沙・・・』

この服を買ったら『許してくれるかな・・・』

いつもみたいに・・・怒鳴りながら頬を殴って、許して里沙・・・。
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