*ΒaD boY,SaD girL*
[Sleep princess]
哉未はベッドに近寄り、ベッドに横になっている里沙を見下ろした。

月明りに照らされた里沙は、まるで童話に出て来るお姫さまみたいで、あまりにも綺麗すぎて怖くなった。

『里沙・・・』

名前を呼ぶ・・・里沙の名前を呼んだ自分の声が少し掠ってて少し戸惑った。

『哉未・・・?』

里沙が目を開ける。

『起きてたんだ?』

『・・・うん』

里沙は眠いのか目を薄目ながら言う。

『最近、風邪気味でさー・・・倒れちゃったよ。心配かけて、ごめ・・・ん』

『いや俺も大声だしてごめん』

『んーん・・・』

里沙は薬が効いているのかマバタキの時も目をとじているのが多いみたいだ。

『里沙・・・あのさ』

哉未は重い口を開く。

里沙は知っていたのだろうか・・・知っているのだろうか。
自分の体におこったことを・・・。

『ん?』

里沙は眠いながらも少し口許を上げながら哉未を見上げている。

『・・・・・』

『なんでもない』

哉未は無理に笑いながら里沙の目線にあわせて、腰を屈めた。

『ははっ。変な哉未』

里沙は笑う・・・哉未も笑った。

『おやすみ・・・里沙』

そう言って里沙の髪をなでると、ゆっくり目をとじ、すぐに寝息をたて眠りについた。
哉未は、しばらく里沙の寝顔を見て・・・どうしようもなく胸がしめつけられるような思いになって部屋を後にした。

バタン・・・

部屋を出ると哉未は扉に寄り掛かった。
〔里沙は・・・〕
知らないんだ。

あの事を・・・哉未は扉に寄り掛かったままずるずると座り込んだ。

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