*ΒaD boY,SaD girL*
[Relieved]
数ヶ月後

三年生はこの時期、卒業式まで家庭学習という名の長期の休み期間に入る。

『あーー分からん』

誰もいないと思われた三年棟の教室から聞こえる叫び声。

『せっかく休みなのに何で俺は学校きてんだ・・・。』

うなだれた声の主は哉未。
哉未は出席日数が足りなかったため皆が休みの今、学校に来てレポート提出をしなければならなかった。

「哉未ーさっさと次の解けよーわかんないのかよー」

イスに浅く腰掛けだるそうにしている哉未に向かって言うのは智貴。
教室には哉未と智貴と宇田、3人がいる。

『あ?黙れ!帰れ!だいたい何でお前がいるんだよ』

哉未は前の席に偉そうに腕を組む智貴のイスをけった。
哉未と同様に日数が足りなかった宇田はともかく無遅刻無欠席皆勤賞の智貴は学校に来る必要はない。

「暇なんだよぉ。何だよ!蹴るなよ!せっかく教えてやろーと思ったのにさー」

セリフは強気なのに心なしか声がか細い智貴。

『わかった、わかったよ』

苦笑いしながら哉未は智貴にプリントを渡す。
その横で黙々とレポートを仕上げていく宇田。
哉未は心の中でホッとしていた。

今までと変わらずに続いている宇田や智貴との関係に。

あれから宇田は、あえて何も言わない。
そして智貴はこうして毎日のように何かと理由をつけ哉未の様子を見に来る。
気を使わせて悪いと思いながらも安心を感じずには、いられなかった。

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