*ΒaD boY,SaD girL*
[hate]
あの後レポートを終わらすと3人で適当に街をぶらつき家に帰った。

ガチャっ

哉未は玄関のドアを開けると無言で靴を脱ぎ中へ入った。

「哉未おかえり」

哉未に気がついた母親の真衣子がリビングから顔を出して言った。

『んー』

哉未は適当に返事をすると自室に入っていった。

最近、里沙の姿をみない。
真衣子は何か聞きたい様子だったが哉未の様子が落ち込んでいるようにも見えたので、あえて何も言わなかった。

『はぁー・・・』

最近は、いつも・・・学校や外では普通を演じるものの家に帰るとドッと疲れる。
哉未は部屋に入るなりドアにもたれ、ずるずると座り混む。
そして右手で前がみを掻分けながら顔をあげると・・・視線の先には部屋の隅っこに放っておかれている紙袋。

『・・・・』

あの日・・・里沙が倒れた日。
ショーウインドウに飾られていた服。

俺は何を勘違いしてたんだろう。

浮気をしてもその分なにかをプレゼントすれば里沙は簡単に許してくれるって里沙は傷つかないって・・・そう思ってた。

里沙は一人で悩んで一人で傷ついて何もかも一人で抱え込んでた。

今頃きがついても遅いのにそれでも里沙に会いたいと思う自分は無責任なのかな。
どんな顔して会えばいいのか分からないくせにそれでも会いたいと思ってしまう自分は不謹慎なのかな。
哉未は眉をゆがめると立てた膝に頭をうずめた。

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