*ΒaD boY,SaD girL*
[Graduation ceremony]
あれから少しの月日が立ち何も変わらないまま、ついにこの日を迎えた。

卒業式

「え!哉未!卒業できんの!?」

哉未が智貴と廊下を歩いていると、すれ違い際に女子生徒が驚きの声をあげた。

『お前もか・・・』

哉未は口元をひくひくさせながら呟く。
隣りで智貴は必死に笑いをこらえている。
実は、この女子生徒で今日は6回目。
皆、哉未が卒業できるとは思っていなかったらしい(笑)

「おい。哉未、智貴。花」

宇田が教室からヒョッコリ顔を出しながら二人を呼ぶ。

『何で宇田はカタコトなんだ(笑)』

哉未と智貴は笑いながら教室へと歩いて行く。
教室に入ると、他のクラスの奴、胸に花をつけてくれる後輩やらいつも以上に人がいてザワザワしていた。

『・・・』

たくさんの人が居る中、哉未は教室を見渡すが、里沙の姿は見つけられなかった。

「廊下ならべだってー」

クラスメイトの言葉。

「・・・」

『・・・』

「・・・」

三人は言葉を交わす事なく廊下へ出た。


< 61 / 85 >

この作品をシェア

pagetop