*ΒaD boY,SaD girL*
[Coward]
哉未は無言で席をたった。

「哉未・・・お前、大丈夫か・・・?」

滅多に表情を変えない宇田が眉を歪め心配そうに言った。

『あぁ』

哉未は苦笑いしながら宇田の横を通り過ぎた。

「あ。哉未どこ行くの?持ってきたぞー」

ボトルを両手に1本ずつ持った智貴が自分の横を通り過ぎる哉未に言う。

『便所』

哉未は智貴の方に振り向く事なく通り過ぎた。

「・・・哉未・・・どーかしたのか?」

智貴が哉未の態度を変に思い心配そうな表情で宇田に聞く。

「いや・・・でも・・・あの様子じゃ結構まいってるな」

宇田は困ったような笑いを浮かべて呟いた。
哉未はトイレから出ると皆の元へは戻らずに外へ出た。

冷たい空気が頬をさす

『ダメだぁ・・・』

哉未は溜め息をつきながら入口の外にある階段に座りこんだ。
ズボンのポケットからクシャッとへこんだタバコをとりだし1本とって、またポケッ
トに戻した。

『~』

溜め息と煙を一緒にに吐きだした。

『・・・』

俺って、こんなに弱かったっけ?

こんなに臆病だったっけ?

母親にまであんな事いわせたのに、奈々子ちゃんはこんな俺を許してくれたのに、そしてツレには気をつかわせる始末。
里沙と話し合おうて決めたのに、話しかけるどころか近寄る事も出来ない。
姿を追う事で精一杯で・・・怖いんだよ・・・。

すごく怖いんだ・・・。

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