*ΒaD boY,SaD girL*
[Regret]
俺には悔やんでも悔みきれないほどの後悔がある。

あの寒い日里沙の話を聞いてあげていれば

あの日里沙の後を追いかけていれば
あの日・・・抱き締めていれば
里沙を抱き締めていればよかった・・・。

「哉未~。ジーマでいいー?」

智貴の声でハッとした。
今、哉未はクラスの打ち上げのため宇田のバイト先にいる。

『おー。ジーマで』

哉未は平静を装いながら智貴に答えた。
智貴は「わかった」って頷きながら哉未に背を向けた。

『はぁ・・・』

智貴が去った途端に溜め息が漏れる。
そしてカウンターに座るなり頬杖をついた。
里沙は隅で何人かの友達と話をしているようだった。
クラスの打ち上げで使っているこの店は昼間レストランで夜はパーティーなどが行われるクラブやバーとして使われている。
今日は定休日だったため貸し切りで貸してもらったらしい。
いつもは人で埋め尽くされている、この店も今日はクラス40人だから部屋が広く思える。
だからなのか里沙との距離がいつも以上に遠く感じた・・・。

「哉未」

宇田が哉未の隣りに歩みよってきて座った。

『おー。宇田!今日まわさねーの?』

哉未は冗談ぽくDJのマネをしながら笑った。

「ははは。盛り上がってきたら回す」

宇田も目尻に皺をよせながら笑った。
その時「須賀くん♪」
哉未の周りにクラスメイトが集まってくる。
片手にボトル持ってるヤツ、顔が赤いヤツもいた。

「聞いてやってよー(笑)こいつ2組の田中さんが好きなんだって」

突然クラスメイトの一人が騒ぎだした。

「でかい声で言うなよー!!」

「哉未くん何かアドバイスしてやって(笑)」

相当酔っ払っているみたいだった。
哉未は黙りこんだ。

『ははは・・・俺じゃ何も教えれる事ねーよ』

そう言って哉未は笑った。
宇田は、そんな哉未を黙ってみていた。

一人の女も幸せにできない俺に何ができるというんだ。

哉未は眉を歪め自分の手のひらを眺めていた。

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