*ΒaD boY,SaD girL*
[Smoke]
締め切った部屋に煙草の煙が立ちこめる。
哉未は上半身を起こして煙を吐きながら天井を見上げた。

『哉・・・未』

名前を呼ばれて隣に寝ている里沙に目を向けた。
目を閉じて布団を口までかぶって・・・寝ている。

〔寝言かι〕

ホッとしながら再び天井に視線を向けた。
そして先ほどの里沙の言葉を思い出した。

《哉未っ・・・好きぃ・・・》

“好き”ね・・・

『ふ~~~』

哉未は天井に向かって煙を吐いた。
嫌いじゃない・・・別に嫌いになったわけじゃねーけど・・・。
会えばヤルし(あの後もう一回したし)。
けど何か一緒にいてもドキドキしねーつか・・・
冷めたつーか・・・
倦怠期てゆーか・・・
“潮時”ってゆーやつかな・・・

『煙い・・・』

里沙が眉間に皺を寄せて咳払いしながら起きあがった。
反射的にビクつく哉未。

『火ちょーだい』

ライターを渡すと里沙は慣れた手つきで哉見の煙草に火をつけた。
〔最後の一本…まぁイイけど〕
煙草を吸う里沙の横顔を見ながら自分の煙草を口に運んだ。

『やっぱマルメラしか無理・・・』

そう言って里沙は吸いかけの煙草を哉未に渡しベッドから降りた。

〔何だそれι〕

呆れながら煙草を受け取りベッドから降りる里沙を見る。

『かえんの?』

下着をつけ始める里沙を横目で見ながら灰皿に煙草を押しつけた。

『舞美と約束あるし。帰ってシャワー浴びる』

里沙は必要最低限な言葉だけ発し制服に着替えていく。

『あーそう。』

それだけ言うと哉美は布団に潜り込んだ。

『・・・・・』

里沙が腑に落ちない顔で哉美をみたが背を向けている哉美は気づきもしなかった。
この頃から何もかもが当たり前すぎていてスモークがかかったみたいに曇っていて・・・
一番大切なモノが分からなくなっていた・・・。

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