*ΒaD boY,SaD girL*
[Wedding]
今日は親友の大切な日だ。
「ちょっとー。何、男3人で話こんでんの?キモーイ」
突然の声。後ろを見ると、そこには真っ白なウェディングドレスを身にまとった女性
の姿…
『だ…誰?』
哉未は眉を歪めた。宇田もポカンとしている。
「ウチの事わすれたの!?まーいみ!!!」
彼女は叫びながら哉未にチョップする。
『舞美!?化粧薄かったから分かんなかった(笑)』
ゲラゲラと笑う哉未と宇田。智貴は、吹き出して舞美に蹴られた(笑)
「おい。哉未。タバコ…」
ふと宇田が気がついたように哉未が持っているタバコを見る。
『あ。わりぃ…』
哉未はハッと気がつきスーツの内ポケットから携帯灰皿を取り出しタバコを消した。
「あーごめんね…気つかわせて…」
舞美が困ったように笑いながら言った。まだよく分からないが舞美のお腹は少し膨ら
んでいた。
『なに言ってんだよ』
哉未は口元をあげ優しく笑った。
『でも…』
智貴と舞美を交互に見てニッと笑う哉未。
『まさかお前らが結婚なんてな』
そう言うと舞美と智貴を顔を見合わせて、はにかんだように笑う。
「しかも、できちゃった結婚…」
宇田が横で付き足すように呟く。
そう
今日は親友の大切な日。
結婚式…
智貴と舞美の結婚式。
まさか二人が結婚をするなんて思ってもみなかった。1か月前に式の案内状が来てい
た時には寝ぼけているのかと何度も頬をつねったくらいだ。
でも素直に嬉しい…
『…』
「…」
哉未と宇田が、お互い横を見、目を見合わせる。
そして
『「智貴!おめでとう!」』
二人声を揃えイッセイに叫んだ。そして智貴に飛び掛かる。頭をグチャッグチャッっ
て撫でたり蹴ったり二人なりの照れ隠しだ。
「お…お前ら…」
智貴は一瞬キョトンとした顔をしたが「ありがとう」と言って涙目になっていた。

< 75 / 85 >

この作品をシェア

pagetop