青空の下で
海へ行く日、私は張り切りすぎて、集合時間の30分も前に学校に着いた。
校門にはもう一人張り切りすぎた人が……
「さっちゃん!!」
「紗枝ちゃん。早く着きすぎちゃった」
苦笑いのさっちゃんが私に近づいてくる。
「私も」
「昨日の夜眠れなくて……クマ酷くない?」
「大丈夫だよ」
私達は日陰に移動して、何を喋るわけでもなくただ時間が過ぎるのを待っていた。
約束の時間の5分前になると春樹君以外のメンバーが集合した。
私達は早く着いたことを知られたくないから、校門から少し離れたところでみんなの様子を伺っている。
「春樹来てないね。そろそろ行こうか」
「うん」
私達は手を繋いで校門の前へと歩く。
「おはよう。春樹は?」
さっちゃんはいつも春樹君と一緒にいる男の子に話しかける。
「後から来るらしい」
「また寝坊?」
「わからん。お前家近いんだから、連れて来いよ」
「ヤダ。春樹のお守りなんかしたくない」
私達はバスに乗り込み、海へと向かう。
バスに乗ってから暫くすると、窓から海が見える。
すると「ここで降りるぞ」とさっきの男の子が私たちの座席まで言いにきてくれた。
「もう着いたのぉ~感動!!」
さっちゃんはいつになくテンションが高い。
春樹君の友達に絡みながら、海に向かって歩いていく。
私はゆっくりとその後を歩く。
夏休みっていうこともあり、海には沢山の人がいる。
右手に広がる海を眺めながら私は当たり前だけどその広さに感動していた。
「紗枝ちゃーん!!ココでいい?」
砂浜の上で飛び跳ねている、さっちゃんが何だか可愛く見えた。
「いいよ」
「えっ?何?聞こえなーい!!」
ゆっくり歩いていた私とさっちゃんの距離はかなりある。
大きな声を出すなんて何年ぶりだろうと思いながら、大きく息を吸って力いっぱい声を出した。
「そこでいいよ!!」
さっちゃんは頭の上でOKサインを出して、持ってきた椅子やシートを広げ始める。