カタブツ皇帝陛下は新妻への過保護がとまらない
「……あまり上手く結べなかった。女のリボンなんか結んだことがないし、手先はあまり器用なほうじゃないんだ、すまない」
意外な謝罪を受けてしまい、驚いたモニカは部屋に掛かっている鏡で自分の髪を窺い見た。すると、白のレースがついた可愛らしいリボンは見事に縦結びになってしまっていた。
鏡越しに気まずそうな顔のリュディガーと目が合い、モニカはうっかり吹き出してしまう。
「ふふ……あはは。ごめんなさい、笑ったりして。でも、すごく意外で」
名門のアルムガルド家に生まれ、生を受けたときから皇帝の座を約束され、自他ともに厳格で、若くして威厳があって、リュディガーにできないことなどないと思っていた。
そんな彼の意外な一面はあまりにも可愛らしく、それを恥じる姿はたまらなくチャーミングだ。笑ってはいけないと思いつつ、モニカはクスクスと肩を揺らしてしまう。
「あまり笑ってくれるな。ドレスブーツやハンティングシューズの紐なら上手く結べる。リボンは慣れていないだけだ」
拗ねた声で言われてしまい、笑い過ぎて怒らせてしまっただろうかと焦ったけれど、再び目が合うと今度はリュディガーも可笑しそうに笑いだした。モニカが初めて見る彼の笑顔だ。
「約束しよう。次にきみのリボンを結ぶ機会があったら、きっと上手く結んでみせる」