カタブツ皇帝陛下は新妻への過保護がとまらない


――十三歳の夏を、モニカは一生忘れられないものになると思った。

生まれて初めて恋をし、煌めくような毎日を過ごしたのだから。

けれど、無情にも別れのときはやってくる。リュディガーたちよりひと足早く夏季休暇を終えるクラッセン家が、シュゲル城を発つ日がやって来た。

この日の早朝、ふたりはいつものように秘密の散歩をしたが、モニカはずっと無言で俯いたままだった。

モニカはわかっていた。今日さよならをしたら、リュディガーとはきっともう会えないと。

半年後に彼は大帝国ゲオゼルの皇帝になってしまうのだ。皇太子のときとは立場も責任もまったく違う。一国の公爵令嬢とはいえ、気軽に近づける存在ではなくなるだろう。

しかもゲオゼルは動乱の時期にあるのだ。皇帝の座に就いた彼には目が回るような多忙な日々が待っている。休暇どころか謁見に伺ったところで会えるかどうかもわからない。

こんな風に隣り合って散歩をすることももう二度とないのだと思うと、モニカは悲しくてたまらなかった。

もっとリュディガーのことをいっぱい知りたかった。もっとたくさん話をしたかった。そんな気持ちが溢れて止まらなく、最初の頃に彼を避けていた時期を後悔するほどだった。
 
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