カタブツ皇帝陛下は新妻への過保護がとまらない

「きみを愛している、モニカ。どうかこのリュディガー・ヨハン・マリウス・アルムガルドの妻になってほしい」

初めて恋をした男に、情熱を灯した蠱惑の翠眼に、こんなにも真摯に乞われて断れる乙女がいるだろうか。

モニカは抑え切れない想いというものを初めて知った。身体の奥から熱いものが込み上げて、気がつくと腕が勝手にリュディガーを抱きしめていた。

「私も……あなたを愛してる、ルディ。このプロポーズ、喜んでお受けします」

通じ合った想いに歓喜のまま飛び込んだ彼の懐は、とても広く頼もしく感じた。

大帝国の皇后になるのは、きっと簡単なことではない。けれど、モニカはその苦労ごと受けいれようと思う。

愛するリュディガーと一緒ならば、きっと困難に立ち向かう勇気が湧いてくるはずだ。

胸に飛び込んできたモニカを、リュディガーは両腕でそっと抱きしめた。

そして、腕の中の小さな婚約者のつむじにキスをひとつ落とすと、深い翠色の瞳を和らげて囁く。「ありがとう、モニカ」と。

オークやリンデンバウムの枝から差し込む木漏れ日はキラキラと眩しいけれど柔らかさも含んでいて、夏の終わりを告げていた。
 
 
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