オプションは偽装交際!~大キライ同期とラブ・トラベル!?~
と視線をやったのは大学生らしき素朴な雰囲気をしたカップル。
まだ付き合いたてなのかな? 手は繋いでいるけれど、交わす笑顔からも照れくさそうな感じが伝わってくる。

女の子のヒールのあるかわいいパンプスは、坂道にはちょっと難だったみたいだ。気づかわしげに休んでいい? と訊くと、男の子が慌てて足を休め女の子を労わる。
うーん、はにかむ二人の笑顔がまぶしーい。


「いいなぁ」


思わずかみしめるように独り言ちてしまう私。


「一緒に来たかったか? 彼氏と」

「え」

「そんな顔してるぞ」


急に向居が真面目くさった顔で変なことを突っ込んできたので思考回路が停止した。
な、なにを急に…。不意をつく切り込んだ質問で、返す言葉に詰まってしまう。


「そ、そりゃあ残念だけど、向こうだって仕事なんだし仕方ないわよ」


慌てて取り繕う。あぶないあぶない。この緩んだ今の気分じゃ、うっかり別れることをバラしてしまいそうだ。


「彼氏って恒田だろ」

「あ、うん、そう…」


公表はしていないけど、私と基樹が付き合っているのは周知のことだ。だから同期の向居も知っているのは納得なんだけど…ちょっとびっくりした。
向居が彼氏のことを訊いてくるなんて…。同僚のプライベートなんか全然気にしないタイプだと思っていたんだけど。
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