オプションは偽装交際!~大キライ同期とラブ・トラベル!?~
咲き誇る桜の薄紅色が、水色のやさしい空によく映えている。
桜は本当に綺麗な花だ。
こんなに素晴らしいものを毎年楽しむことができる贅沢を逃していたなんて、私どうかしていたな。

―――って、

いやいや、そういえば思い出した。
社会人になってから、一度だけ都内の桜の名所に行ったことがあったんだった。


「すっかり忘れていたわ…」


思わず独り言ちてしまったのを、向居は聞き流さなかった。


「なにを?」

「え、いや、ええとね」


その時は基樹と一緒だった。
ぶっちゃけ、のろけ話になる。かと言って流すのもどうかと思った。向居がずっと黙りこくっていて少し気まずかったから、なにか会話をしたかった。


「働き始めてからは花見なんてしなかったなって思ってたんだけど、実は一度したことがあったのを思い出したの。ほら、私たちが入社して二年目の年に、珍しく職場でお花見をしたじゃない。向居もいたでしょ。覚えてる?」

「…ああー。そう言えばあったな」
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