オプションは偽装交際!~大キライ同期とラブ・トラベル!?~
「ロケハンのためにこの街に来ようとしたのは本当だ。けど、同じあの日あの時間にお前を駅で見かけたのは、まさに奇跡だった。思いつめて泣き腫らしたお前の顔を見て、一瞬で決心したんだ。この旅でお前を恒田から奪うって」
私はこらえるようにこぶしを握り締めて、向居から目をそらした。
「私には向居に想われる資格なんてないわ…。だってあの二人が言ったことは全部本当だもの。怖かったのよ。仕事だけの女になってしまうのが。だから、基樹の気持ちを利用していた。自分勝手だった」
私が昇進した時も、基樹にまだ私への気持ちがあったのは分かっていた。
だから、それだけに基樹がどれほど傷ついたか、惨めだったか、私は気付いていたはずなのに…自分のことばかり考えて、そんな基樹を顧みようとはしなかった。
止まったはずの涙が、ほろほろと頬にこぼれる。私に泣く資格なんかないことは分かっているけども、抑えられない。
「バリキャリ気取ったって、私はただの弱虫。本当の卑怯者は、私よ」
私を抱く向居の腕が、たしなめるかのように強まった。
「まったく…ほんとどこまでもストイックな軍師様だな…」
私はこらえるようにこぶしを握り締めて、向居から目をそらした。
「私には向居に想われる資格なんてないわ…。だってあの二人が言ったことは全部本当だもの。怖かったのよ。仕事だけの女になってしまうのが。だから、基樹の気持ちを利用していた。自分勝手だった」
私が昇進した時も、基樹にまだ私への気持ちがあったのは分かっていた。
だから、それだけに基樹がどれほど傷ついたか、惨めだったか、私は気付いていたはずなのに…自分のことばかり考えて、そんな基樹を顧みようとはしなかった。
止まったはずの涙が、ほろほろと頬にこぼれる。私に泣く資格なんかないことは分かっているけども、抑えられない。
「バリキャリ気取ったって、私はただの弱虫。本当の卑怯者は、私よ」
私を抱く向居の腕が、たしなめるかのように強まった。
「まったく…ほんとどこまでもストイックな軍師様だな…」