オプションは偽装交際!~大キライ同期とラブ・トラベル!?~
「お前がいつも俺のそばを走ってくれていたから、俺はここまで来られたんだ。逢坂都は、俺の最高のライバルで最強の片思い相手なんだ」


でも、私はまだ、向居のその瞳からおびえたように目をそらしてしまう。だって…


「そんなことを言われたら、私は今度は向居を利用してしまうかもしれない…。基樹のように都合のいい存在にしてしまうかもしれない…」


あきれたように小さく吐息すると、向居はなおも説き伏せるように言葉を続けた。


「なに言ってるんだよ。今のお前の成果やスキルは、恒田がくれたものなのか? 今のお前の成長は、恒田が成し遂げたものなのか?」

「……」

「ちがうだろ。全部、都が一人で勝ち取ったものだろ」


思わず見上げた私に、向居はとびきりのやさしい笑顔を浮かべた。


「なら、自分を信じろよ。今まで自分が作ってきた道が誇れるものなら、お前が正しいんだ。そして、これからだってお前の判断や選択に間違いはない。例え何があろうが、どんな状況になろうが、お前はこれからだってしっかり走っていける」
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