インモラルな唇を塞いで
春休み明けには辛い6時間目までの授業を終えて学校を出る。
駅まで徒歩10分、電車で2駅、そこからは徒歩10分で家に着く。
学校の最寄り駅は国立大学の目と鼻の先だ。
ふと思い立ってスマートフォンを開いた。
『まだ大学?今帰りなんだけど一緒に帰れない?』
兄宛にメッセージを残す。
送信完了と同時に既読が付き、そのまま画面を見ながら返信を待った。
『いいよ。駅のカフェで待ってて』
すぐに返ってきた返事を見てにんまりと口元を緩める。
春休みだったこともあって学校帰りに一緒に帰るのは久しぶりだ。
そのまま駅に向かおうかと思ったが大学まで行って入り口で待とうと行き先を変更する。
ここからだとものの数分で着く。
傾いてきた陽の中を歩いているとすぐに目立つ建物が現れた。高い四角い建物がいくつかと、上が丸い半球になったような建物も見える。
それらを横目にぐるりと壁に沿っていくと明らかにここの大学生だと分かる人たちとすれ違う。
正門が見えてどこで待とうかと思っていると入り口に入ってすぐ道の端にベンチがあるのを見つけてそこに腰掛けた。
門に向かって出ていこうとする学生がちらちらとこっちに視線を投げてくる。
やはり大学にセーラー服は目立つらしい。兄を見つけるにはちょうどいいかと歩いていく人間の顔をフラッシュのように見ながら脚を組んだ。
ちょうど授業終わりのタイミングなのか出ていく人波はなかなか多い。
「ねぇ誰か待ってるの?」
「一緒に探そうか?」
声に振り向くと半笑いの顔で好奇心むき出しといった様子の男子学生二人が立っていた。
心の中で舌打ちをしてにっこり笑顔を向ける。
「大丈夫です。お兄ちゃんがすぐ来てくれるから。ばいばい、お兄さんたち」
手のひらをヒラヒラ振ると二人は何とも言えない表情になって去っていった。
手っ取り早く二人を撒いてまた流れる人に視線を向けると、待ち人の顔を視界の端に見つけた。
一瞬で人波に隠れてしまったが間違いない。
すぐにスクールバッグを肩にかけて立ち上がり、人波に近付いた。
人々の歩調がずれてまた兄の顔が視界に入る。
「お兄ちゃん!」
明らかに届く声量で声をかけた。
振り向いた兄の顔。
流れが捌けて現れた兄の右腕には知らない女の手が掛かっていた。
駅まで徒歩10分、電車で2駅、そこからは徒歩10分で家に着く。
学校の最寄り駅は国立大学の目と鼻の先だ。
ふと思い立ってスマートフォンを開いた。
『まだ大学?今帰りなんだけど一緒に帰れない?』
兄宛にメッセージを残す。
送信完了と同時に既読が付き、そのまま画面を見ながら返信を待った。
『いいよ。駅のカフェで待ってて』
すぐに返ってきた返事を見てにんまりと口元を緩める。
春休みだったこともあって学校帰りに一緒に帰るのは久しぶりだ。
そのまま駅に向かおうかと思ったが大学まで行って入り口で待とうと行き先を変更する。
ここからだとものの数分で着く。
傾いてきた陽の中を歩いているとすぐに目立つ建物が現れた。高い四角い建物がいくつかと、上が丸い半球になったような建物も見える。
それらを横目にぐるりと壁に沿っていくと明らかにここの大学生だと分かる人たちとすれ違う。
正門が見えてどこで待とうかと思っていると入り口に入ってすぐ道の端にベンチがあるのを見つけてそこに腰掛けた。
門に向かって出ていこうとする学生がちらちらとこっちに視線を投げてくる。
やはり大学にセーラー服は目立つらしい。兄を見つけるにはちょうどいいかと歩いていく人間の顔をフラッシュのように見ながら脚を組んだ。
ちょうど授業終わりのタイミングなのか出ていく人波はなかなか多い。
「ねぇ誰か待ってるの?」
「一緒に探そうか?」
声に振り向くと半笑いの顔で好奇心むき出しといった様子の男子学生二人が立っていた。
心の中で舌打ちをしてにっこり笑顔を向ける。
「大丈夫です。お兄ちゃんがすぐ来てくれるから。ばいばい、お兄さんたち」
手のひらをヒラヒラ振ると二人は何とも言えない表情になって去っていった。
手っ取り早く二人を撒いてまた流れる人に視線を向けると、待ち人の顔を視界の端に見つけた。
一瞬で人波に隠れてしまったが間違いない。
すぐにスクールバッグを肩にかけて立ち上がり、人波に近付いた。
人々の歩調がずれてまた兄の顔が視界に入る。
「お兄ちゃん!」
明らかに届く声量で声をかけた。
振り向いた兄の顔。
流れが捌けて現れた兄の右腕には知らない女の手が掛かっていた。