空に虹を描くまで
楽しく会話しているとあっという間に時間は過ぎていった。
「あら、もうこんな時間」
梓さんのその一言を聞いて時計を見ると、10時前だった。
「明日も学校あるのにごめんね。長い間つき合わせちゃって」
「いえいえ、全然。むしろ楽しかったです。ありがとございます」
「今日は車で送っていくからね」
有無を言わせないようにか、わたしの返事を聞く前に梓さんは部屋を出ていった。
「作ったグラスも忘れないようにな」
そうだ。
今日はこれを取りに来たのに忘れていた。
おじさんが言ってくれないと、家に帰って我に返って気づくパターンだっただろう。
「陵も乗ってくだろ?」
「あー、じゃあついでに俺も送ってもらおうかな」
陵は椅子から立ち上がり、カバンを手に取った。
「そろそろ行こうか」
陵の言葉を合図にわたし達は階段を降りていった。