空に虹を描くまで
だけどきっと忘れちゃいけない。
どうして涙が出そうになったのかを。
そう心に決め、わたしは再び料理に手をつけた。
「そうだ、もうすぐ夏休みじゃない。何か予定とかあるの?」
梓さんが突如聞いてきた。
「予定は、特には。多分バイトしたり、遊んだりとかそんな感じになると思います」
「あらそうなの?陵ちゃんも夏休みはほとんどここにいるだろうから、また顔見せに来てね」
「いいんですか?ありがとうございます」
「佳奈子ちゃんが来てくれると、陵も嬉しそうだしな」
おじさんが口を挟むと、陵は食べ物を喉に詰まらせたのか咳をした。
「余計なこと言わなくていいから」
咳が落ち着くと、おじさんを睨みながら釘をさすように言った。
おじさんと梓さんは楽しそうにニコニコと笑っていた。