空に虹を描くまで

わたしが騒ぎすぎたせいか陵が「行く?」と誘ってくれた。

「行く!やばい!めっちゃ嬉しい!!」

誘ってくれる前から、こんな調子じゃ、誘ってくれって言っているようなもんだ。

だけどわたしがそう返事をすると、陵はなぜか安心したように優しく微笑んだ。


「あ、もしかして知ってて誘ってくれたの?」

「...は?いや、違うけど」

「じゃあ偶然!?やば、めっちゃラッキーじゃん!」


今まで花火にはあまり縁がなかった。

友達と一昨年の夏、花火を見に行こうと誘われてわざわざ隣の県まで車で移動した。

だけどその日は生憎の雨で花火は中止になった。

天候は仕方ないけど、それでもかなりショックだった。


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