空に虹を描くまで
勘違いをしてた。
陵みたいな人は誰かの期待に押しつぶされそうになったり、上手くいかなくて落ち込んだり、不安になったりすることなんてないんだなんて、一方的に思ってた。
そんなわけないのに。
同じ人間なんだから、不安がないはずなんてない。
みんないろいろ抱えながら乗り越えてきているんだ。
出来る気がする。
だってずっとやりたかったことだもん。
反対されて気持ちを押し殺していただけ。
あの時、お父さんに反対されて作曲できなくなった時に感じた気持ちを忘れていた。
何が一番辛いかって、曲が完成しないことじゃない。
納得できるメロディーが思い浮かばないことじゃない。
期待に応えられないことじゃない。
一番辛いのは、ピアノを触って音楽を奏でたり、自分の好きなようにアレンジして弾いてみたり、音楽に関われなること。
「あ、もうすぐ花火終わるぜ」
クライマックスに入り、一斉に花火が空いっぱいに打ち上がった。
視線に入りきらないくらいのたくさんの花火は、余韻を残しながら空に消えていった。