空に虹を描くまで
「当たり前だろ?」
そう言いながら陵は笑った。
当たりを見渡すと、陵が使ったであろう道具がたくさんあった。
「あれからずっと作っての?」
「まあな」
「...すごいね」
独り言のようにぼそりと呟いた。
「あ、そうだ」
わたしはかばんの中をゴソゴソと探り、一本のお茶を取り出した。
お店からこっちの工房に移る時に、買っておいたものだ。
暑くて喉が渇いているんじゃないかと思って買っておいた。
この蒸し暑い気温のせいで、ペットボトルを触るとだいぶ冷たくなくなっていた。
だけど、まだ少し冷んやりと手に感触が残る。
「お疲れ様、良かったら飲んで?」
「え、いいの?サンキュー」
陵はわたしの手からお茶の入ったペットボトルを受け取ると、カチッと音を鳴らしてキャップを開けた。
そのまま、一気に半分くらいまで飲んだ。
「喉渇いてたんだ?」
「もーカラカラ。やってる時は、あんま気にならないんだけど」
「そうなの?」
「そうそう。ちゃんと水分取ってるか?ってよくつっこまれるよ。で、慌てて何か飲むって感じ」
「えー!倒れないでね」
わたしがそう言うと、陵は楽しそうに笑った。