空に虹を描くまで
気を使って言ってくれたのかもしれないし、本心でそう言ってくれたのかもしれない。
どっちにしろ、こういう対応をしてくれる陵が大人に思えた。
再び裏口から2階に上がり、あずささん達が待っている部屋に入った。
「あ、佳奈子ちゃん、こっちこっち」
キッチンの方で梓さんが手で手招きをしてわたしを呼んだ。
「晩御飯、何作ろうかなーって考えてたんだけど、中華が食べたい気分だなって思って」
「中華いいですね」
「でしょ!じゃあ、中華にしよう!」
「シュウマイは冷蔵庫にあるのよ。後は、チャーハンと春巻きと八宝菜と酢豚でしょ。それから…」
梓さんの口からは次から次へと中華料理の名前が挙がってくる。
「エビチリも食べたいね!」
「あ、はい」
全部作る気なんだろうか?
「じゃあ、作りましょうか」
梓さんは袖をめくり、わたしにエプロンを貸してくれた。