空に虹を描くまで
こんなに食べれるんだろうかと思うほど、次々と料理が完成していく。
梓さんも料理は得意じゃないなんて言いながら、なかなかいい腕だと思う。
素人のわたしがいうのもなんだけど。
出来た料理を少しずつテーブルに運ぶとおじさんや陵はそれに気づき椅子に座りだした。
「いい匂いだなー。ちょっと一口」
おじさんの手がエビチリの方へと進んでいった。
「あ」
ちょうどおじさんの後ろに梓さんが立っている。
そうとは知らずに、おじさんの手はどんどんエビチリの方へと近づいていく。
後数センチというところで、後ろからパシッとおじさんの手を叩いた。
「ったく、佳奈子ちゃんもいるのに、お行儀の悪いことしないで」
「えー」
なんか子供みたいで少し可愛く思えた。
梓さんがしっかりしてるから甘えたくなるんだろうか。
「おじさんてなんかガラス工芸やっている時とイメージ違うね」
こそっと陵に呟いた。
「意外と情けないよな」
陵も静かに呟いた。
「ふふっ」
可笑しくなって二人で笑いあっていた。